腰椎椎間関節のメカニズム

椎間関節は上下の椎骨が合わさる関節ですが、椎間板がクッションのような役割を果たしています。その椎間板が狭くなると、関節にかかる負荷が大きくなり、痛みが出てきます。

ところが、身体のメカニズムというのは良くできていて、この痛みがずっと続くかというと、必ずしもそうではありません。

椎体が安定化していく仕組み

腰椎椎間関節狭小化に起因する腰痛のページで、痛みに合わせて身体が前屈みになる「自然の知恵」についてご説明しましたが、それと同じように、身体が痛みに合わせて変化してくれるのです。

腰椎の解剖図椎間板が狭くなって骨と骨が近づいてくると骨棘が広がり、椎骨の平面面積が広がります。たとえば、建物でも細長い建物は不安定ですね。それと同じ原理で、椎体が狭小化して不安定になった腰椎を安定させるため、骨棘が自然と幅が広がるのです。さらに、骨棘がつながると固定化されるため、痛みが取れ、フラフラしなくなります。

さらに進行すると、関節がつぶれて関節自体が固定される(癒合する)こともあります。このような身体の変化が、腰椎を安定化させ、痛みを和らげる、或いは除去する作用を及ぼします。

このことを逆から考えると、多少変形が進まないと痛みが取れない場合もある、と言えるでしょう。
人間の身体は歳とともに変化・変形していくものですが、それは理にかなったことであり、腰椎について考えるなら、変形自体が悪いことはないという考え方も成り立ち得ます。

めまいの原因が背骨の場合もある

椎間板が損傷し、骨と骨の結合が緩むと、背骨全体がフラフラします。こうなった場合、座ったり寝たりと、ある程度安定した姿勢ですと、フラフラはしなくなります。
しかし、立ったり歩くとフラフラして、目まいのような浮動感が起こります。

この目まいのような症状で受診なさるのは脳外科や耳鼻科が考えられますが、脊椎に由来した症状ですので、問題なしと言われます。

つまり、ふらつきや目まいに似た浮動感を自覚される場合で、頭部に異常が見られない場合、それは背骨が原因となっている可能性が考えられるのです。

このふらつきの原因を判別するには、座ったり寝た状態で、身体の向きを変えてみられると良いでしょう。耳や脳に原因がある場合、座ったり寝た状態であっても、身体の向きを変えるだけでふらつき感や浮動感を自覚することが多くあります。
一方、立ち上がって歩いている時だけふらつくといった場合、それは背骨、つまり整形外科で診察を受けるべき症状であると言えます。なお、立ち上がった瞬間にふらつくのは、血圧が変わるからであり、見極めには立ち上がってしばらくしてからの感覚が有効です。

しつこい痛みはまず受診から

毎日身体を動かしていると、仕事や環境によっては当然身体のどこかが痛んだりすることがあります。腰痛は厚生労働省でもガイドラインを作って取り組んでいるいわば、職業病的側面もありますが、対処することで痛みを和らげることも可能です。

ですので、ご自身で「職業病だから」と諦めたり「マッサージしていればようなるだろう」と決めつけず、まずは専門家である整形外科医にご相談ください。
当院では、患者様のお話をよく聞き取った上で、しっかりと方針をご説明しながら治療を行っております。詳しくは医師にお尋ねください。

腰痛について解説しているページが他にもございます。