仙腸関節を原因とする腰痛

このページでは、当院が腰椎の原因として注目している二つ部位、腰椎椎間関節と仙腸関節のうち、仙腸関節について詳しく解説致します。

その痛み、実は仙腸関節炎からくるものかもしれません。

外来で診察をしていると、よく「お尻のあたりが痛い」「歩くとお尻が痛む」と訴えられる患者様がいらっしゃいます。中には、太ももの裏や足先まで痛むという方もいらっしゃいます。
こういうケースでは、坐骨神経痛と勘違いされることがありますが、本当の神経痛ではなく、仙腸関節の炎症に起因していることも少なくありません。いわゆる、仙腸関節炎という症状です。

お尻を触っても痛みは特定しにくいのですが、仙腸関節を触診すると圧痛を訴えられることが手がかりとなります。

仙腸関節の特徴

仙腸関節仙腸関節は骨盤にありますが、骨盤の痛みは自覚しづらく、シャープに感じることができないので、患者様ご本人はどこが痛いのか明確に話せない。つまり、どこが痛むのか分かりにくい。ただ、痛い方の臀部から太ももにかけて痛みが出ている…。このような症状が外来で多く見られます。
この原因は何なのでしょうか。
仙腸関節は、仙骨と腸骨の関節ですが、仙骨は上半身の体重を受けとめています。一方、腸骨は、基本的に地面から突き上げられる力を受けとめています。つまり、仙腸関節は、上下からの負荷がぶつかり合う関節であり、摩擦が加わることになりますので、たくさん歩いた後などは痛みが出やすい傾向にあります。どちらかと言えば、歩いている時ではなく、歩いた後に痛みが出やすいが多いようです。

この仙腸関節からくる痛みの場合、仙腸関節にブロック注射を打つことで痛みが取れることがあります。

また、坐骨神経は仙腸関節のすぐ近くを通っているため、仙腸関節が炎症を起こすと、坐骨神経まで巻き込まれて、坐骨神経痛を発症することがあります。

腰椎MRIに他覚所見がない場合に疑うべき部位

ですので、腰椎MRIで所見がない場合に坐骨神経痛を訴えられる場合、その根本原因は仙腸関節に由来するケースがあります。

しつこい腰痛に悩まされていらっしゃる場合、腰椎椎間板と仙腸関節、この二つの原因に着目して治療していくと治りが早いというのが、診察と治療をしていての実感です。

なお、もしMRIで腰椎に異常所見がある場合、当院では脊椎外科の専門医が治療を担当致します。腰痛でお悩みの皆様、どうぞお気軽にご相談なさってください。

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