むちうちと神経根の圧迫について

最近ではインターネットの影響もあってか、患者様もお怪我や病気についてよくご存じでいらっしゃいます。交通事故に遭われた患者様からも、むち打ちについて色々と専門的なご質問を受けることがあります。患者様から聞くところによると、最近では法律の専門家がホームページ内でむち打ちについて解説なさっているそうです。そういったむち打ちの解説の中で「むち打ちによって神経根が圧迫されるために腕が痛くなる」という記述を目にしたことがありますが、それは必ずしも正しい見解とは言えません。

むち打ちはMRIで確認できるのか?

頸椎MRI水平断むちうちの症状においてジャクソンテストやスパーリングテストで痛みを感じるのは、関節に圧力を加えているからであって、神経根の圧迫とは無関係です。椎間関節内圧が上がると痛みが放散されるのが理由なのです。
ですので、むち打ちの症状では、MRIを撮ったとしてもジャクソン・スパーリングテストの結果と整合性のある圧迫像は見られないことが一般的です。

そもそも、MRIを撮って椎間板ヘルニアの画像所見が得られるのならば、その傷病名は「むち打ち(頸椎捻挫)」ではなく、むち打ち動作を機転とする「頸椎椎間板ヘルニア」となります。

このように、むち打ち、外傷性頸部症候群は、MRIでも明確な画像所見が得られない場合に診断される症状ですので、神経根の圧迫というのは問題にならないのです。

不明な点はまず医療機関へご相談を

今検討してきた内容は一般論であって、交通事故の態様は様々ですので、事故状況によって損傷部位は異なりますし、むちうちは画像所見が得られないため、診断の難しい症例です。自覚症状によっては、自律神経を疑うこともありますが、原則的な考え方としては、むち打ちとは頸椎の捻挫であって、関節を痛めているというのが一般的と言えるでしょう。

怪我や病気を診る専門家は医師ですので、ご不明な点や不安があれば、まずは現在かかっていらっしゃる医療機関に相談なされると良いでしょう。

むち打ちについて解説しているページが他にもございます。