「腰が痛い」という症状に悩まされている方は大勢いらっしゃいますが、腰の痛みといっても原 因は人によってさまざまです。
腰痛には原因不明なものから、ギックリ腰(急性腰椎症)、腰椎椎間板ヘルニアや腰椎すべり症など、疾患(病気)として確立されているものまでたくさんあります。その他にも骨粗しょう症を原因とする骨折、細菌感染による炎症、ガンなどの腫瘍の転移、腎臓などの腹部内臓の異常、婦人科疾患、ストレスなどが原因で腰痛になることもあります。
本稿では、その腰痛についての簡単な解説と当院の腰痛に対する取り組み(リハビリ)を説明させていただきます。
明らかな症状あるいは椎間板の骨に変化がある腰痛の症状としては、主に以下の傷病が考えられます。
腰部脊柱管狭窄症
- 歩いていると足などが痛くなる。
- 痛くなってから腰を曲げて休むと痛みが和らぐ。
急性腰椎症(ギックリ腰)
- 重いものを持ち上げる、腰をひねるという急な動作によって腰部に急激な痛みを感じ動けなくなる。
腰椎変性すべり症
- しばらく同じ姿勢をしてから次の動作に移るときに痛む。
- しばらく歩いていると 足が痛くなったり、痩れだりして歩行困難になる。
腰椎(部)椎間板ヘルニア
- 腰から下肢にかけて痛みやしびれがあり、足に力が入りにくい。
- 朝と夕方以降つらいが日中は比較的楽になる。
変形性脊椎症(腰部脊椎症)
- 朝起きる動作で痛い。
- 日中はあまり痛くない。
- しばらく動いていると痛みが軽くなる。
腰椎変形側湾症
- 腰痛のため、座っても立っても歩いても10分と同じ姿勢を保てない。
- 寝起き、立ち上がりなど姿勢を変えると痛い。
腰痛の診断
腰痛には上に紹介したような傷病がありますが、はっきりとした病名が付きにくく、治りにくい機能的な腰痛(いろいろ芯筋肉の協調運動障害や筋肉の収縮遅れ・ 不全など様々です)もあります。
腰痛を起こす原因はたくさんあります。また、原因がはっきりと分からない腰痛もたくさんあります。腰痛は立った状態で腰部を酷使する人間の宿命的疾患とも言われています。しかし、様々な治療により防ぐことが可能な腰痛も多くあります。
当院での治療方針
当院では、腰痛の早期発見、早期治療はもちろんのこと、痛みの再発防止にも力を入れています。痛みを我慢して生活し、病状が悪化してから受診するよりも、早く治療を始めた方が治療期間も苦痛のある期間も短くてすみます。
以下、当院での腰痛治療について、その流れを簡単にご説明させていただきます。
1.まず医師の診察・診断・説明により、病気の解明と理解を深めていただきます。
2.その後、患者様に最適で必要な治療を選択します。投薬、湿布剤、注射などがありますが、なかでも当院はリハビリに重点を置いています。
3.患者様の状態により理学療法(運動療法)が処方されれば、理学療法士による個別的なリハビリ(マンツーマン)が始まります。
個別的なリハビリでは、理学療法士による問診・視診・触診などを行います。それによって患者様個々の状態を把握し、その後必要な治療プランを決めて、実際に治療に取りかかります。
具体的な治療内容の例
1.腰椎の関節部分の過剰な硬さをとり、動きを回復させる。
2.椎間板の膨隆部分を元の位置に戻すような運動により、椎間板由来の腰痛を軽減・消失させる。
3.中腰姿勢やしゃがみ込みなどの動作にともなう腰痛に対して適正な身体動作を体得してもらいます。
4.お腹の部分(体幹部)の安定性を高める。
以上は一例ですが、このようなリハビリで治療に取り組んでいます。
治癒にいたるまでの期間は個人差があり、一概には言えませんが、骨の変形などを伴う腰痛などは完全治癒しないこともあります。しかしほとんどの場合、いくらかの改善が望めます。その治療効果に影響する因子として、病状の程度や経過時間、ご自宅で行う治療体操の実施状況、日常生活の過ごし方などがあります。
それらが複雑にからみ合って病状変化していくため、改善速度にも個人差がでてきます。いすれにしても根気よくリハビリを続けていくことが重要です。
腰痛に関する詳しいご相談は、来院時に医師に直接お問い合わせくださいませ。